てんかん、認知症、がんなどに効果が認められてきているCBDオイルについて
CBDとはカンナビジオール(Cannabidiol)の略であり、大麻草に含まれる薬用成分の一つです。
大麻草に含まれる天然化合物は100種類以上もあり、それらはまとめてカンナビノイドと呼ばれています。
その中で最も多く含まれているのがTHC(テトラヒドロカンナビノール)であり、次いで多いのがCBDです。
THCは向精神作用があり、THC含有量が0.3%以上のものをマリファナ、0.3%以下のものをヘンプと法的に区別していますが、日本ではTHCが含まれる製品の使用ならびに所持は、マリファナであろうとヘンプであろうと、大麻取締法違反となり捕まってしまいます。芸能人が逮捕されたりしているので大麻をご存じの方は多いと思います。
しかしCBDは向精神作用がないため、基準を満たした製品であれば薬物依存などは起きず、日本でも合法的に使用が認められています。だから、大麻から精製はされていますが、何の問題もなく使用できるのです。
では、何の問題もなく使用できるからといって、何か効果があるのか?
というところが気になるところですが、期待できる効果がさまざま報告されてきています。その用途に関してはまだまだ発展途上ではありますが、これからの医療のベースとして期待できるのではないかと思うので、今回紹介することにしました。
もともとは数年前にアメリカのほうで、CBDが小児てんかんに効果があったという報告があり、それならCBDが犬のてんかん発作に使えるのではないかと模索していたところ、CBDのオイルを動物用に販売するという、わりと信頼のおける会社が現れ、その製品をてんかん発作で治療中の飼い主様にお話をしていました。
その中でCBDを始めた方からは神経症状が消失したり、てんかんが起きなくなったりという報告を受けていました。まずまずの成果が認められていたのでこれはこれで一つの方法として確立しつつあったのですが、先日とある人の医学会に出席したところ、新たなCBDの可能性に触れることになりました。
それまで私が推奨してきたCBDは大麻草に含まれる100種類以上もある天然化合物のうち、CBDだけを抽出したCBDだけしか含まれないアイソレートと呼ばれるものでした。CBDの純度が高く効果も高いと思っていたのですが、実は大麻草からTHCだけをはぶいて、その他の天然化合物はそのまま残して使用したほうが、もっといろいろな効果が得られるということがわかってきたらしいのです。これをブロードスペクトラムと呼び、同じCBDオイルでも、前出のアイソレートとは区別して評価をしなければならないみたいなのです。
ではブロードスペクトラムCBDオイルにはアイソレートにはない何があるのか?
という問題に入っていきます。
ここからは
ブロードスペクトラムCBDオイルの中身に興味のある方はお読みいただければよいと思います。
アイソレートとブロードスペクトラムのどちらが効果があるのかがわかれば、どうして効果があるのかについてはどうでもよい。
という方は読む必要はないと思います。
ブロードスペクトラムの効果
①マイナーカンナビノイドが含まれる
大麻草に含まれる天然化合物は100種類以上もあり、それらはカンナビノイドと呼ばれていることは最初にお話ししました。
カンナビノイドのうちTHCとCBDを除いたものは、総称してマイナーカンナビノイドと呼ばれています。
代表的なマイナーカンナビノイドとして以下のものがあります。
CBG(カンナビゲロール)
THC、CBDに次いで3番目に多いカンナビノイド。THCのような向精神作用はなく、効果として鎮痛作用・抗菌作用・抗炎症作用・抗がん作用・骨の成長促進などが認められています。
CBN(カンナビノール)
向精神作用はなく、抗けいれん作用・抗炎症作用・鎮痛作用・睡眠補助作用などが認めれています。
CBC(カンナビクロメン)
抗菌作用・抗真菌作用・抗がん作用・抗うつ作用が認められています。
CBDV(カンナビジバリン)
自閉症スペクトラム障害、筋ジストロフィー、難治性てんかん等に有用であると認められています。
これらマイナーカンナビノイドがブロードスペクトラムのCBDオイルには含まれるのです。
②テルペンが含まれる
テルペンとは植物の香気や風味の源となる揮発性化合物です。大麻草には約200種類のテルペンが同定されています。CBDと相乗効果が期待できる代表的な6種類
β-カリオフィレン
抗不安・抗うつ・抗酸化・抗炎症などの作用があると言われています。
リモネン
抗うつ・胆石溶解・胃酸逆流解消などの作用があると言われています。
ミルセン
鎮静作用の助長・催眠・鎮痛・抗炎症などの作用があると言われています。
ピネン
気管支拡張・抗炎症・記憶力低下防止などの作用があると言われています。
リナロール
抗不安・ストレス軽減・抗けいれん・免疫活性化などの作用があると言われています。
フムレン
抗炎症・抗菌・鎮痛・食欲抑制などの作用があると言われています。
③アントラージュ効果
アントラージュとは「取り巻き」「環境」を意味するフランス語です。テルペン、フラボノイド、マイナーカンナビノイドなどがCBDの効果を高めたり、副作用を減じるような作用をアントラージュ効果と言います。複数の生薬を組み合わせて作られる漢方薬もアントラージュ効果の賜物です。
では、CBDがどのように身体に作用するのか。
その鍵となるのが「エンドカンナビノイド・システム」と呼ばれる身体調節機能です。
すべての脊椎動物の体の中では「内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)」と呼ばれるTHCに類似した物質が作られています。エンドカンナビノイドは伝達物質として、全身に分布するカンナビノイド受容体に働き、身体の多くの機能を調節しています。この調節ネットワークをエンドカンナビノイド・システムと呼び、カンナビノイド受容体の中でCB1受容体は神経細胞に主に分布し、CB2受容体は免疫細胞に多く分布していて、正常な身体機能の調節の一翼を担っています。CBDはカンナビノイド受容体と直接結合することはありませんが、CB1とCB2受容体に間接的に作用し、エンドカンナビノイド・システムの機能を活性化する働きがあります。
どういうことかというと、
てんかん発作を例にとりごくごく簡単に説明すると、
てんかん発作というのは神経の伝達物質が過剰に分泌されて起きる現象で、健康な時や若い時は過剰に分泌されている神経伝達物質を抑制するための伝達物質(エンドカンナビノイド)が放出され、神経の過剰興奮を抑制し、てんかんを起こさずにいられるわけです(この現象をフィードバックと言います)。しかし、過度なストレスや老化、栄養不良、有害金属の蓄積によりエンドカンナビノイドが欠乏し、神経を興奮させる神経伝達物質の分泌の歯止めがきかずに、てんかん発作を起こすのです。CBDは減少しているエンドカンナビノイドの分解を阻害することで、これまで通りフィードバックを正常に作動させ、てんかん発作を起こす神経伝達物質のシャワーを止めて、てんかん発作を抑制するのです。
てんかん発作の1例をあげましたが、まとめると、CBDはエンドカンナビノイドの輸送や代謝酵素などに作用することで、その働きを高めたり、一部抑制したりするなどして、身体のエンドカンナビノイドシステムの機能を向上させる働きをしているのです。そのもっとも重要な作用と考えられるのは、「神経や免疫の過剰活動、炎症への対処」「免疫調整作用」です。
CBDを選ぶ際には以下のことに注意しております。
1.原料、製造者、製造方法、流通などのトレーサビリティが完璧であること
2.「ブロードスペクトラム」であり、テルペンプロフィールも優れていること
3.完全オーガニックな製品で、農薬や重金属などが一切検出されないこと
4.国際的な薬品の生産品質規範であるGMPや食品製造の安全性基準であるHACCPなどを原則取得しており、
生産過程が信頼できること
5.継続して使用することができる価格であること
これらをすべて満たすことができている製品は、日本では2社でしか販売しておりません。
もし使ってみたいという方は当院で取り扱いしておりますので、お問い合わせください。
最後にCBDが効果を発揮するであろう疾患をあげておきます(太字は特に効果に期待が持てるであろう疾患)。
免疫の修復、抗炎症(過敏性腸症候群)、鎮痛(片頭痛、線維筋痛症)、抗ストレス、抗不安、食欲安定化、睡眠や気分の調整、記憶と学習の改善、トラウマ記憶の消去(PTSD)、血圧と血糖値の抑制、悪心・嘔吐の抑制、抗てんかん、抗けいれん、神経保護、抗虚血、生殖機能の調整、がん免疫の調整、うつ病、自閉スペクトラム症、パーキンソン病など